読書の冬へ移行中

もう 秋と言うには寒い日も増えてきましたが ま よく考えてみれば
読書に季節は関係ないのかも。そもそも なぜ「読書の秋」なのか?
秋の夜長とかから きてるってことかなぁ?
ま 俺は季節構わず読みます せっかくなので。

前回 (山田)詠美さんの本を久々に読んだら 疼いてきてしまって
また書庫(押し入れの天袋)から 大量に引っ張り出して読み倒し。(汗)

「無銭優雅」 
これも 最初をちょこっと読んで放ってあったんだよねぇ。
自分でも なんでそういうことが出来るのか分からないんだけど
その時の気分に合わなかったりすんのかなぁ。(謎)
で しっかり最初から また読みました。したら すげー 面白かった。
最後の最後 慈雨(主人公・女)と栄(主人公・男)が不格好なんだけど
生きてくって格好悪いのかもしれないなぁ 基本的に。
そんな風に思えて 楽しく思えてきちゃいました。

「姫君」
ちょこっと風変わりな手触りの作品集。
短篇よりは長く 中篇というには短い その半端な長さに見合った結末は
切れ味の鋭い傷というよりも 不規則に抉られた傷のような痛さを感じる。
「無銭優雅」の後に読んだので 余計にそう感じたのかも。
表題作の「姫君」の切なさ加減が個人的には好きです。

「ご新規熱血ポンちゃん
「熱血ポンちゃん膝栗毛」
週刊誌で連載されている「熱血ポンちゃん」シリーズ。
大好きなんですが 文庫で しかも長い間放っておかれた後に読むのが
俺の常なので そのタイムラグ感がハンパねぇ〜っす。(笑)
この2作は文庫化が平成19年と21年だから 実際に書かれたのはいつ?
って位に 今読むと それだけで面白いことになっちゃってます。
ま でも この脱力っぷりは いつ読んでも変わらない面白さに満ちてますけど。

「ファッション ファッショ」(ピーコとの共著)
これも ちょっと読んだだけで 放ってあったんだよなぁ。(汗×2)
女性ファッション誌に連載されていた詠美さんとピーコの二人による
ファッションに関する対談集。二人のコンビも合っているし まぁまぁ面白い。
ただなぁ どーも 俺には ピーコさん自身が そうお洒落には思えないので
どーも そこが引っかかっちゃって 面白さを阻害してる気がしました。
ま これは 完全に俺の好みというか意見なんだけどね。
おすぎとピーコは大好きだけど どっちかと言えば おすぎ派なんだろうなぁ 俺。
あ 外見とかそういうのは 問題外だけどね どっちも。(双子だけど)

「メン アット ワーク」(山田詠美 対談集)
錚々たる方々との主に文学に関する対談集。
石原慎太郎氏に始まり 村上龍氏まで14人の作家(除く井上陽水)との対談で
詠美さんはもちろん それぞれの作家の立ち位置というか文学との接し方とかが
見えてきて なかなか興味深かったです。
優れた読み手全てが優れた書き手になれるわけではないだろうけど
優れた書き手が優れた読み手であるというのは間違いない。
そんな風に思える対談集でした。

俺んちにある山田詠美在庫は「PAY DAY!!!」を残すのみとなってしまったのですが
なんとなく読むのが もったいなくなっちゃってさぁ。(完璧貧乏性気質)
無造作に選んで読み始めたのが・・・。

「神様がくれた指」 佐藤多佳子
これが結構な厚さがあったんですが 読み始めたら一気でした。
刑期を終えて出所したばかりのスリが巻き込まれる というか
自ら飛び込んでいくような 己の矜持を懸けた戦いに熱くなりました。
作者の佐藤さんは「一瞬の風になれ」とか大好きで何度も読んでるけど
これは ちょっと毛色が変わっているというか 佐藤さんにしては
実は凄い冒険作なんじゃないかなぁ。で その冒険は成功してると思います。
ウェットな展開とドライな感触とが絶妙に合わさって 
意外にもハードボイルドとして読んでも一級品だと思いました。
って ハードボイルドはたいして読まない俺が言ったところで・・・ですが。

「ガラスの麒麟」 加納朋子
ちょっと前に読んだ「掌の中の小鳥」が面白かったので読んでみたら
これが本当に本当に面白い。傑作って言っていいんじゃないかなぁ。
連作短篇集なんで 各篇毎に独立して読んでも もちろん面白いんだけど
話が進むにつれ 意外な面が現れてきて 綺麗に嵌まるパズルのような
ラストがまた秀逸です。ただ 個人的には 切れ味抜群な冒頭の表題作が
一番だったかなぁ。叙述トリック(って 言ってる時点でネタバレ気味ですが)の
決まり具合は 柔道でいえば「一本」でしょう。分かっちゃいても騙されます。
で すぐに もう一回読み直したくなります。
もちろん 俺も速攻でページを戻しました 最初のページに。

「白戸修の事件簿」 大倉嵩裕
これも連作短篇集。「ガラスの麒麟」とは かなり味わいが違いますが 
こちらも なかなかの好印象でした。ヒッチコックが得意だった
巻き込まれ型サスペンスとでも言うんでしょうか。とにかく主人公の
事件遭遇率の高さは 悲劇なんだか喜劇なんだか。
実際には ありえないだろ?ってのを 上手に読ませるのは凄いです。
で この主人公の行く先も気になるしね。
確か 続編が出てるような気がしたけど・・・。

「聖域」 大倉嵩裕
上の軽いノリの「白戸修の事件簿」とは 全く趣きの異なる山岳ミステリー。
著者は学生時代 山岳部だったそうで 絶対に書きたかったみたいですね。
その想いが溢れ過ぎていて 仕掛けは万全とは言い難い気がしました。
ただ 山岳ミステリーという枠というか制約もあるので しょうがない部分も
あるんだろうなぁとは思いました。ただ反面 そい想いが 真っ直ぐに
あくまでも直球で向かってくるので 青春(と言うには歳食ってるけど)小説
として読んだら この熱さはいい効果を出していると思います。
実際 これも読み始めたら止まらなかったですしね。
あまりにも いい人が多過ぎるのは気になったし ラストのほろにが感に
若干深みが足りなかったりしたりもしたけど それもこれも
若さとか 勢いとか 不器用さとか 作者の想いとかの前では
大きな問題ではないような気もしました。

ってわけで まだまだ在庫消化のためにも読んでいきます。