「THE GREY 凍える太陽」


観終わった後の 肩の凝り具合 半端なかったっす。
相当 力が入ってたんだと思うよ〜 俺。
しかもさ なんだかズッシリと重いもんを残していくもんだから 余計にさ。

いやいや そんなつもりで観たわけじゃなかったんだけど。
もっと アクション風味の 単純にスカっとする映画だと思ってたし。
まぁ でも いい意味で裏切ってくれたと思います。

設定は単純 ほんとにワンシチュエーション。
飛行機墜落→雪山死闘→困難続出→犠牲者続出。
それでも こんだけ力強く 胸に迫ってくるのは 
設定を超えたとこの 男たちの姿が 必死さが熱いから。
そして そんな男たちの 弱さを抱えた心が暖かく感じるから。

そんな中でも リーダーとなるオットウェイを演じるリーアム・ニーソン
やっぱり圧倒的に上手いです。数年前に奥さんを亡くしてるんですねぇ。
パンフで読んで知ったけど。しかも バネッサ・レッドグレープの娘って知ってた?
その奥さんを亡くしたってのを知って見ると 更に胸が痛くなります。
監督のジョー・カーナハンは最初からリーアム・ニーソンを念頭に置いて
この脚本を書いたって言ってるね。元からむちゃくちゃ上手い俳優さんだけど
更に凄味まで感じさせてくれた気がします。
ラストシーンの素晴らしさは 言葉にしずらいですが 
リーアム・ニーソンの眼差しは 忘れ難いもんがあります。

そして オットウェイの父親が詠んだという詩が 効果的に使われています。
「もう一度闘って
 最強の敵を倒せたら
 その日に死んで悔いはない
 その日に死んで悔いはない」
って たった四行の詩なんですが オットウェイの置かれた過酷な状況に立ち向かう
というか 人生に立ち向かう拠り所になっています。
エンドクレジット後に流されるワンシーンは この詩を具現化している気がしました。

製作に名を連ねているのは リドリー&トニーのスコット兄弟というのは
エンドクレジットで知ったんですが トニー・スコットの自殺が 
ほんと直前にあったので なんだか色々考えちゃいました。
トニーの監督作品ではないし 製作者の作品への関与がどれ程のものか
分からないので この映画にその意味を求めるのは
無理があるのかもしれないですけど。

それよりは確実に大きな影響を作品に与えているのは撮影を担当した
日本人カメラマンの存在でしょう。これも鑑賞後にパンフを読んで知ったことですが。
それでも ラストシーンの 美しさと厳しさ 激情と無常の 
交錯する瞬間の切り取り方は 日本人ならではかなぁと思ったりもしました。
マサノブ・タカヤナギさんというそうです。

夏休みに見るには重すぎるし デートムービーとしては最悪かなと思うんですが
それでも 俺自身は凄く観てよかったなぁと思える映画でした。
今んとこの 今年一番。
ま 十数本しか観てないんだけれどもね 偉そうなこと言う割には。(笑)