「レ・ミゼラブル」


やっと観れた〜。
年末に 結構酷い風邪をひいてしまって おば友と観に行く約束をしていたのに
キャンセルしてしまったんですよねぇ。

で 休みまで待てずに レイトショーで観て来ました。

いやぁ 泣いたね〜。
ポケットティッシュひとつ使い切っちゃったからね 涙と鼻水で。(汗)
序曲が始まったと同時に「レ・ミゼラブル」の世界に浸りきりました。

日本では帝劇で20年以上に渡って上演され続けている名作なので
観ている方も多いとは思いますが ミュージカル映画って最近はあんまりないので
一般的な映画ファンの受けってのはどうなんでしょうね?
全編が歌で構成されているので 芝居部分と歌部分の違和感ってのはないと
思うんですが 逆に最初乗れなかったら 最後まで乗れないで終わる可能性も。
ただ 好き嫌いはもちろんあるでしょうが 音楽の素晴らしさは疑うとこはないと
思うので 多くの人に観てもらいたいなぁ。

で 「レ・ミゼ」鑑賞16回の俺的には かなり満足度は高かったです。
日本では今年 新演出版が上演されますが それを基にしているのか
それとも映画オリジナルな部分もあるのか 微妙に旧演出版とは違う部分も
あったんですが それは ほとんどがいい方に作用していて 分かりやすさとか
細かい部分の整合性みたいなもんが 格段に上がっていたと思います。
映画版のための新曲「Suddenly」は まぁ あってもなくてもいい感じでしたが。

ジャン・バルジャンを演じるヒュー・ジャックマンの評価が高いようですが
俺には ちょっと力み過ぎな感じがしました。滅茶苦茶泣けるナンバー
「彼を帰して(Bring him home)」も もうちょっと大きく包み込むように
歌って欲しかったとこです 個人的には。

一方のジャベールを演じるラッセル・クロウは 観る前の俺の心配を
軽く吹き飛ばす程の歌唱力で どハマリしました。ジャベールにしては力強さが
足りないのかもしれませんが そこはあの風貌と繊細な演技力で見事にカバーしてるし
個人的にはヒュー・ジャックマンよりも 断然いいと思います。
「星よ(Stars)」の 危うい心情を的確に捉えた歌声は素晴らしかったと思います。

ファンティーヌを演じるアン・ハサウェイの「夢やぶれて(I Dreamed a Dream)」も
ここ数年付いてしまっていた スーザン・ボイル臭を一掃してくれる出来でした。
旧演出版では 工場をクビになった帰り道に途方に暮れながら歌われるんですが
映画では(新演出版でも?)娼婦になってから歌われていましたね。
まぁ そのせいもあって 悲愴感は倍増してましたけど。

俺が名曲揃いのこの作品で一番好きな曲が「On My Own」で 他がどんなに良くても
この曲を歌うエポニーヌがイマイチだと全体の評価も下がってしまう程なんですが
この映画のサマンサ・バークスは全然知らない女優さんなんですが 
エポニーヌにもピッタリで この曲も素晴らしかったです。
パンフが売り切れで プロフィールが分からなかったので検索してみたら
ロンドンの舞台版にもエポニーヌ役で出演してるんですね。
そりゃ 上手いわ。
で この曲 映画では雨に打たれながら歌われるんです。
舞台では もちろん雨は降らせないで 印象的な照明の中で歌うのですが
「雨の舗道は銀色」って歌詞にもあるように
それを映像(映画)で表現できるのも強味だなぁと思ったりもしました。

「The Cafe song」はマリウスが亡き仲間たちに「生き残ってしまってすまない」と歌う
落涙必至の曲で それには舞台版の演出も関係してると思うんです。
仲間と語り合ったカフェで歌うマリウスの後ろに 亡くなった仲間たちが一列に並んで
登場し 曲の最高潮の時に消えていくという 「泣いてまうやろ〜」な演出。
これが映画では どうなるかと思っていたら 完璧なマリウスのソロでした。
仲間たちとの語らうシーンとかが挿入されるかもと思ったけど それも無し。
この映画では 全く回想シーンとかはなくって そういうとこも舞台を意識して作られて
いるんだと思うんですが そうなると出来ない演出とかもあるんですね。

テナルディエ夫妻を演じる サシャ・バロン・コーエンヘレナ・ボナム・カーター
最高でした。悪党だけど憎めない そんな魅力的なテナルディエ夫妻になってました。
サシャ・バロン・コーエンが こういう役をやるっていうのも 意外だったけど。
地下の下水道でのシーンは 舞台では水の滴る音は効果で加えられているけど
映画では まさしく汚泥の中を歩くんですねぇ。追って来たジャベールと泥だらけで
誰かも分からない感じのバルジャンが対峙するところは ここまでのリアリティが
必要なのかな。ただ ジャベールと向き合っているのはバルジャンの姿をした
俺たちなのかもしれないなぁと そのために泥だらけにしたのかなぁと思ったり。

マリウスたち 学生運動の同志たちが築くバリケード
窓という窓から家具が投げられ出来ていく様は 映像(映画)ならではって感じで
凄く良かったんですが 出来あがったバリケードが舞台版と比べても
あまりにも脆弱というか しょぼかったのが ちと残念ではありました。
多分 史実とかと照らし合わせれば あんなもんなんでしょう。
ただせっかくの映像(映画)なんだから もう少しだけスペクタクルな感じがあってもね。
フィナーレの「民衆の歌(The People's Song)」で登場するバリケードとの対比も
出したかったんだろうけど それにしても ちとしょぼかったような。

帝劇の舞台版の訳詞をされている岩谷時子さんの詞が今回の映画の字幕の作詞でも
参考にされているみたいなんだけど それも当然。本当に完璧な訳詞だと思うもん。
今回 英語詞も 簡単なものは耳で理解出来たけど 意味を理解させるだけでなく
「歌詞」としての完成度も素晴らしいと再認識しました。
ちなみに バルジャンの囚人番号は 帝劇の舞台版では「24653」です。
映画では「24601」。多分 「オー」と「ごー」 「ワン」と「さん」が
発音としては一緒なので替えてあると思うんですが 
そういうとこも歌う役者のことを考えているんですね きっと。

語り出したら止まらないので この辺にしときますが とりあえず 
映画ももう一回観たいし 更に新演出版での上演もグッと楽しみになってきました。